今年、気象庁の平年値が10年に1度の更新

「平年並み」の意味合いが大きく変わる?!

天気予報で「●●月並みの気温」とか「平年1ヶ月分の降水量に匹敵する」とか聞いたことがあると思います。この平年とはいつのことなのか、その意味について解説します。それを踏まえた上で、今年、その平年値が更新されるのですが、今回の更新はかつてない大きな変化となりそうです。

気象庁では、西暦年の1の位が1の年から続く30年間の平均値をもって平年値とし、10年ごとに更新しています。2020年までは、1981年~2010年までの観測値による平年値を使用していますが、2021年からは、1991年~2020年までの観測値を使用します。

ポイントが2つあります。

  • 90年代からの始まりになるということは、顕著に地球温暖化の影響が出てきた30年間が平年値になるということ。
  • 前回が2010年までのデータだったのが、今回から2020年までのデータを使用するということになる。ここ10年の多発した異常気象のデータが平年値になるということ。ここ10年は「観測史上1位」「数十年に1度の大雨」などのワードがニュースでよく出たのが記憶に新しいと思います。

気象庁の日本の年平均気温のグラフを比較してみましょう。地点は網走、銚子、石垣島など全国まんべんなく選定された15地点の平均。長期間観測していて、かつ都市化の影響が比較的小さい地点の平均です。

(気象庁のホームページから引用し加工)

図の解説です。0.0が1981~2010年の30年平均値。そこを基準に比較しています。黒い点は、各年の平均気温の基準値からの偏差。赤い線は全体の傾向。青い線は5年移動平均値。

80年代は低い年も多く、ここが30年の平年値に含まれるか否かで大きく変わる。さらに、2010年代は高い年が多く、ここも含まれるか否かで大きく変わる。

30年の枠を比較してみると、平年値がワンステージ上がったのが分かるかと思います。

気温の面では、天気予報の伝え方はどう変わるでしょうか?

例えば、京都市の真夏の最低気温は、25℃を下回らない「熱帯夜が平年並み」になる可能性があります。

猛暑の夏、暖冬の冬、この言葉の意味合いも変わってきます。

例えば、冬は12-2月の平均気温が平年値と比べて高ければ「暖冬」と表現しています。

これが新平年値になると、同じような高い気温の水準でも平年並みと表現することになるかもしれません。

生物季節観測(桜の開花や紅葉など)も平年値が変わります。東京の桜の開花の平年日は3月26日でしたが、新平年値では早くなる可能性があります。

イロハカエデ紅葉の平年日は11月27日でしたが、遅くなる可能性があります。

具体的な平年値の変更は、まだ気象庁からは発表されていません。

ただ、10年前は5月に更新されましたので、まもなくかと思います。

今回の平年値の更新は、今までの更新の中でおそらく最大の変化だと思います。

「異常が異常でなくなってきた」なんて言われてきましたが、こういう形でも現れてきます。