気象キャスターっつーのは何なんだろう

問い合わせフォームに変わったメールをいただきました。それの返信をオープンにしながら気象キャスターについての考察をしてみようかと思う。いささか散文的で飲み込みずらいものではあるが、誰のために時間を費やすのだろう?自分のためです。ここは荒れるのを覚悟で、コメント欄をオープンにしておきます。

メッセージ本文: (名前は伏せておきます)
天候に左右される仕事をしています。地域は兵庫県南部です。
予報のポイントが近畿一円のような大きなものではないかと疑うほど当てに
ならないことがよくあります。雨が降っているのに晴とかその逆とか気象庁の
雲の動きで自分で予想した場合が安心できることも少なくありません。
 蓬莱氏は予報以外にいろいろとタレント業務をされているようですが、本来の
気象の研究をされているのでしょうか。へんな講釈を言われるより気象庁の受け売
ですと言われた方が腹がたちません。
 私以外にも多くの職業の方が予報を見て明日の仕事を左右されていると思います
みなさん生活が懸かっているのです。蓬莱氏のようにいいばっなしで無責任な仕事
は他にないのです。
正確な予報ができるように勉強してください。予報に専念して

こういうメールをいただきました。天気予報をしていて、お叱りを受けることがありますが、この内容は自分の信念に関わるメールなので、ちょっとお答えしますね。

天候に左右される仕事をしています。地域は兵庫県南部です。
予報のポイントが近畿一円のような大きなものではないかと疑うほど当てに
ならないことがよくあります。

>これは、たぶんスケッチ予報とかのことを言っていると思うのですが、ポイントというのは、全体的な大きな特徴を指すものです。狭いエリアで見れば、そこは当てはまらないということはあります。ですが、その後の解説を聞いていれば、フォローしているはずです。

雨が降っているのに晴とかその逆とか気象庁の
雲の動きで自分で予想した場合が安心できることも少なくありません。

>まず、ご自身でできるならその方がいいと思います。あと、具体的にどの場所、どの日を言ってもらわなければ、こちらも検証できません。ちなみに、フォーキャストだけではなくて、もちろんハインドキャストも行いながらの反省の日々です。ひょっとして予報通りになっている日が6日あっても1日外れたら、印象に強く残っており、予報通りにならないとおっしゃっている可能性がありませんか?気象庁のデータですが、予報精度がどのくらいなのか毎年検証されております。
https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/kensho/yohohyoka_top.html

自然科学は、100%ではないという根本の所を御理解していただき、信じるのではなく、参考にしていただければと思います。気象予報は宗教ではありませんので。「絶対」なんて言葉は、この仕事をする上では、自然に対する冒涜、もしくは傲慢であると考えています。

蓬莱氏は予報以外にいろいろとタレント業務をされているようですが、本来の
気象の研究をされているのでしょうか。

>タレント業務をするのは、人に自然のことを伝えたり、人前に出て何かを表現することが好きだからやっています。当然、本業に支障が出ないように、むしろ勉強にもなる良いきっかけだと思って、ありがたくご依頼が頂ければさせていただいております。人の仕事に口を出されるのは、論点違いかと思われます。気象キャスターという仕事はつくづく不思議な仕事だと思います。気象の研究者でもなければアナウンサーでもありません。タレントでもありません。気象学会などで様々な方の研究結果を勉強させていただくことはありますが、僕自身は論文を書いたりしません。逆に、気象研究者は、僕らほど毎日の天気図を見たり、季節の行事や動植物などに幅広く気を配ったり、日々の天気をどう伝えるか考えたりはしないでしょう。気象研究者や気象庁の方と話しをすることがありますが、僕らは住み分け、役割分担をしています。

へんな講釈を言われるより気象庁の受け売ですと言われた方が腹がたちません。

>ただ、予報だけを見たければインターネットでご自身で気象庁の予報も民間気象会社の予報も見られる時代です。テレビの天気予報というのは、その番組や気象キャスターによって、どのようなコンセプトでコーナー作りをするか考えられています。ただ、予報だけをシンプルに見たければ、そういった番組を探せばいいと思います。僕の場合は、10年以上、この仕事をやっていて一貫しているのは、普段の穏やかな天気の時は、空のことや自然のことに興味が出て、生活にちょっとでも彩りが出てもらえたら嬉しいなという想いでやっています。自分自身は、子供の頃、天気少年ではなかったので、天気予報をまともに見たことがありませんでした。そんな自分を想像しながら、どうやったら天気予報に興味を持ってもらえるか、限られた時間の中で「空がどうして青いのか」や「天気図の見方」を伝えらえるのか考えています。自然科学に興味を持つことは、「気象災害から身を守る防災」にもつながると思っています。

そして、災害が迫った時には、情報を的確に運び届ける役割であることを意識しています。真剣にやっているかどうかは自分自身で語るのは、根っからの日本人気質から無粋であると感じ、言葉にせずともそれを見て、ある意味、表現者として作品を見て判断してもらえればと思ってやっています。

気象の予想された数字自体は「data」であり、情報ではありません。情報とは、そのデータを受けとった人がどう行動するかまで責任を負って情報「information」だと考えます。情をもって報われる。「information」を翻訳したのは森鴎外だということを10年以上前に受講した防災士の受験時に学びました。

僕の伝える天気予報は、informationであり、自然科学を楽しんでほしいという情や予想気温の数字からどういう行動がおすすめかという情が飾り付けされておりますので、それが「へんな講釈」と言われるのであれば、他の番組を見るかご自身で「data」を得ることをおすすめいたします。ちなみに、僕の知る限り、既存のテレビ番組では、データだけを伝える天気予報はないように思えます。

あと、天気予報が一律同じだと勘違いされているかもしれませんが、読売テレビは、民間気象会社ウェザーニューズの情報を活用しており、気象庁の予想とは違います。予想が外れて腹立たしいのは、大変申し訳なく思います。千葉県にあるウェザーニューズの本社の予報とこちらに在中しているウェザーニューズの予報士と検証しながら、気象庁の予報も参考にしながら最新の情報で予報を発表しています。毎日ハインドキャストもしながら、予報精度100%は無理にしても、できるだけそれに近づけるような姿勢で気象業務をしています。

「受け売り」という言葉を辞書で調べますと、他人から聞いた知識や話を、そのまま違う人に話すこと。と出ます。「気象庁の受け売りと言え」という発言は、気象予報士という仕事の意味を御理解いただけていないのか、僕だけではなく気象キャスター、気象予報士という職種に対する偏見と卑下の暴言と捉え、軽々しくこのような言葉を使われた部分に関しては、こちらも悲しみとそちらの無知さに対する憤りを覚えます。

私以外にも多くの職業の方が予報を見て明日の仕事を左右されていると思います
みなさん生活が懸かっているのです。蓬莱氏のようにいいばっなしで無責任な仕事
は他にないのです。

>さまざまなお仕事をされている方に直接会う機会を週一度いただき(今はコロナでいけていませんが)、当然、自分の言葉によって多大な影響が出るということは10年以上も続けていれば感じざるをえません。

あしたの天気が誰かにとっては大切な日であるということは、常に頭に置いてやっています。だからこそ、ただ「晴れ」という予報ではなくて、先人たちが作り上げた季節の言葉を借りたりしながら、どう伝えるか頭を悩ませます。病室から空を見ていたという人の家族から「故人が天気予報を楽しみにしていた」という感謝の手紙をいただいた時には、天気予報は外に出られる人だけではなくて、そういった人にもあしたの空のことや自然科学のことを伝えているのだなと痛切に感じた経験もあります。

「いいっぱなしで無責任だ」という意味は、外れたら辞めろというようなことだと思量しますが、気象キャスターとしての責任は、毎日崖のふちにたっているような感覚を感じながらやっています。適当なことを言っておれば、視聴者は当然離れますし、テレビ局からも切り捨てられます。我々は常に来年の仕事の保証はありません。いつ切られるかわからない緊張感の中、自分の思想を持ってその天気コーナーを担当し、見る人の命と生活を預かる情報を伝える仕事をしておる次第です。そんな状態でも10年以上続けている僕が切られるのを貴殿が待つよりかは、別の番組を見るか、またはご自身で予想された方がよろしいかと思います。

正確な予報ができるように勉強してください。予報に専念して

>正確な予報というのは、繰り返しになりますが、自然科学では100%は無理なのです。気象の論文を書けるような、研究ラボもありませんし、データを集めて仮説を立てて検証していく膨大な時間も予算も気象キャスターにはございません。ひょっとして貴殿は、テレビで放送される尺が3分だからといって、3分だけ適当に仕事をしていると勘違いされていませんでしょうか?マスメディアで生放送3分話す情報というものは、天気図の解析、画面の選定と作成、表現方法の検討などでトータル4時間半かかっています。

残された時間は、ご指摘されなくても、自身の未熟を埋合すために費やしております。

「予報に専念して」という言葉に関しては、気象情報が外れてご迷惑をおかけしてしまったという お叱りの叱咤激励なのだと真摯に受け止めさせて頂きます。ただ、見ず知らずの顔も知れぬ方から、手紙の最後に丁寧語を使われず、言いっぱなしにされたことに関しては、この手紙の内容を踏まえた上での、〆として濃厚なジョークなのか、いささか社会人として不満に感じてしまいます。

気象キャスターっつーのは何なんだろう」への3件のフィードバック

  1. クレーマーというか、言いがかりというか。
    大変ですね、蓬莱さん( ・᷄-・᷅ )
    真摯に向き合って対応される蓬莱さん、真面目。
    信念を持って自分の仕事をされてる蓬莱さんを、いつも尊敬しています。
    これまで蓬莱さんの過去のブログや色々な媒体の記事も拝読してきましたが、蓬莱さんの仕事に対する姿勢はずっとブレずに一貫していると思ってます。
    基本のスタンスは変えずに、気象予報士としての引き出しを様々な形で広げ、常に発信しているから10年も最前線で活躍していけるのだと感じています。
    お身体大事にして、今後も頑張ってくださいね( ・ᴗ・ )

  2. 私の勤める会社も天候に左右される仕事をしております。私自身は内勤ですが、外勤の方は予定を立てるために週間予報、台風情報は毎日欠かさずチェックしております。
    でも、もちろん外れたからと言って文句を言うわけでもなく、その都度予定を変更し、仕方ないとか笑い話とかで終わります。

    私の住む地域は、地形の関係か2キロ離れれば全く正反対のお天気になったりします。
    もちろん予報は参考にし、あとは自分で雲を見たり風を感じたりすることも大事なことと改めて思いました。

    メディアにお顔を出している以上、アンチのような方も出てきてしまいますよね(._.)
    私は蓬莱さんの信念、お考えを尊敬しております。
    がんばってください。

  3. 先程は短絡的にコメントしてしまいましたが、改めて気象キャスターってなんなんでしょう。
    気象の予報をする方?
    気象予報をただ伝える方?
    気象についてのコメントをする方?
    重大な気象の予報を伝える方?
    気象について現象や歳時記などをわかりやすく教えてくださる方?
    ……
    天気が当たるか外れるか、そういうことではなく、
    いろんな情報を教えてくださる方、それが私にとっての気象キャスターさんなのかなとは思います。

    出過ぎたことを申し上げてすみません。
    これからの益々のご活躍、全国メディアでの活動、
    期待しております。

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